繊維は大きく天然繊維と化学繊維に分けられます。
天然繊維は植物や動物など天然のもので出来た素材、化学繊維は化学的に作り出された素材です。
それぞれにどんな生地があるのか、ご紹介します。
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素材の種類
生地の素材は、天然繊維と化学繊維の二つに大きく分類されます。
天然繊維
天然繊維とはその名の通り、天然に存在するもので、植物性の繊維と動物性の2つの繊維の種類に分類されます。
化学繊維
化学繊維とは、人工的に作られた繊維のことです。
自然のものではなく、人間が目的をもって作った繊維です。
次は、天然繊維と化学繊維について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
天然繊維
天然繊維には、植物性繊維と動物性繊維の二つに分類されます。
植物性繊維・・・綿やリネンなどの植物からとれる繊維
動物性繊維・・・シルク(絹)やウール(羊毛)など動物からとれる繊維
のことをいいます。
植物性繊維
綿
■特徴
綿の木になるコットンボールから採れる綿。
一切合成化学肥料を使わずに、栽培した綿花からとれる『オーガニック・コットン』も人気です。
柔らかな風合いです。
■メリット
- 保温性・吸水性・吸湿性・通気性に優れていて衛生的
- 柔らかく、肌触りが良い
- 摩擦に強く上丈夫
- 水にぬれると強度が高まる
- じゃぶじゃぶ家庭で洗えるので取り扱いがラク
- 熱に強く、高温アイロンも可能
■デメリット
- 洗濯で縮みやすいので、作品を作る前の生地の段階で水通しが必要
- シワになりやすい
- 乾きにくい
■綿が向いているもの
肌触りがいいので、ベビーの肌着から大人服、トップス・、ボトムス・ワンピース・アウターなど様々な衣服に向いています。
肌触りがよく、洗濯も簡単なので、日常着や作業着などに最適。
麻(リネン)
麻は大きな範囲で言うと、亜麻(リネン)、ちょ麻(ラミー)、大麻(ヘンプ)、黄麻(ジュート)、マニラ麻など多数ありますが、主に亜麻(リネン)のことだけを指して言うことが多いので、麻=リネン、だと思っている方も多いと思います。
ここでは、リネンについて、メリットデメリットなどをご紹介していきます。
■特徴
スラブやネップがあるので、ナチュラルな凹凸の風合いが感じられます。
スラブ・・・糸の太さがなだらかに変わること
ネップ・・・節がプツプツとはっきりしていること
均一に染まりにくいので色ムラのようになりやすいですが、それを風合いとして楽しみます。
独特な上品な光沢があります。
天然繊維の中では一番丈夫で長持ちすると言われています。
最初はゴワゴワと硬い印象がありますが、使い込むほどになじみ、ふんわりしてきます。
■メリット
- 放熱性・吸湿性・放湿性・吸水性に優れ、涼しくさらっとしている
- 使うほど柔らかくなり風合いの変化を楽しむことができる
- 摩擦に強く上丈夫
- 水にぬれると強度が高まる
- じゃぶじゃぶ家庭で洗えるので取り扱いがラク
- 熱に強く、高温アイロンも可能
■デメリット
- 肌触りがチクチクすることがある
- 濡れると硬くなる(乾くと元の風合いに戻る)
- 繊維の中で、最もシワになりやすい
■麻が向いているもの
夏用の衣服、トップス・パンツ・ワンピース・羽織りものなど
丈夫なのでバッグ、風呂敷などにも
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動物性繊維
シルク(絹)
■特徴
蚕(カイコ)の繭から作られるシルクは、お肌の成分に近い約20種のアミノ酸が含まれて、健康や美容にいいといわれています。
シルクは軽くてしなやかな肌触りで、上品な光沢が特徴です。
■メリット
軽くて着心地は良い
吸湿性・通気性・保温性にも優れていて、冬は暖かく、夏は涼しい
引っ張りに強い
紫外線(UV)カット
■デメリット
虫に喰われやすい
水・摩擦・熱に弱い
紫外線に当ると黄ばむ
クリーニングまたは自宅でやさしく手洗いなど、洗濯が面倒
■シルクが向いているもの
ドレスや着物などのフォーマルウェア
高級下着
ウール(羊毛)
■特徴
ウールは羊からとれる天然繊維。
温かく、ウールで作ったセーターは、冬のおしゃれの定番です。
ウールには種類がありますが、その中でもメリノウールが代表的。
光沢があり、柔らかなのが特徴です。
■メリット
防寒性・保温性があって冬は暖か
染色しやすく、色落ちしにくいので、様々な色の毛糸があり、色を楽しめる
熱伝導率が低く吸湿性があるため、夏でも涼しい
抗菌・消臭機能がある
伸縮性・弾力性があってシワになりにくい
汚れに強い
■デメリット
虫に喰われやすい
水と熱に弱く、縮みやすい
摩擦に弱い
クリーニングまたは自宅でやさしく手洗いなど、洗濯が面倒
■ウールが向いているもの
セーター、カーディガン、帽子、手袋など冬の防寒着
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化学繊維
化学繊維の中の『再生繊維』と『合成繊維』をご紹介します。
再生繊維
再生繊維とは、天然繊維である木材を化学的に繊維に再生して作った繊維のことを言います。
レーヨン・テンセル・キュプラなどがあります。
レーヨン
■特徴
木材パルプや竹などを原材料に作られた繊維です。
木材パルプは紙の原料としても有名ですね。
レーヨンは、シルクを人工的に作ろうとしてできた素材のため、光沢と手触りがシルクによく似ています。
■メリット
ドレープ性に優れている
涼感があるので夏にぴったり
■デメリット
水に弱く、縮みやすい
摩擦に弱くシワになりやすい
家庭での洗濯は難く、クリーニング表示になっているものが多い
■レーヨンが向いているもの
上着の高級裏地
シャツ・ブラウス・婦人用肌着など
テンセル
■特徴
レーヨンと同じく、木材パルプが原料で出来ています。
テンセルのすごいところは、テンセルを作るための溶剤は再利用でき、さらにテンセルは土に埋めると分解され、土に戻ります。
エコですね。
テンセルは品質表示に「指定外繊維」と記載されています。
テンセルは、新しい素材のため、家庭用品品質表示法で決められていないことから、「指定外繊維」と記載されています。
■メリット
ソフトな風合いで
光沢感がある
吸湿性、速乾性がある
■デメリット
洗いで縮みやすい
摩擦によって白化しやすい
■テンセルが向いているもの
フォーマル、カジュアルジーンズ、インテリア、など様々なものに使われています。
キュプラ
■特徴
キュプラの原料は、コットンリンターという綿花の繊維です。
コットンリンターのうぶ毛部分を酸化銅アンモニア溶液に溶かして作られます。
『キュプラ』には『銅』という意味がありますが酸化銅アンモニア溶液を使用していることからキュプラの名前がついたんですね。
■メリット
光沢感・ドレープ性がある
やわらかく滑りが良い
吸湿性・放湿性がある
静電気が起きにくい
■デメリット
摩擦に弱く、一度毛羽立つと元には戻りにくい
摩擦に弱くシワになりやすいので、家庭での洗濯に不向き
■キュプラが向いているもの
高級スーツやコートの裏地
ワンピース・スカートなど
合成繊維
合成繊維は、石油を原料とした素材で、ナイロンやポリエステルなどがあります。
ナイロン
■特徴
洗濯にも強く扱いやすい素材です。
肌触りもよく、丈夫なので、衣服からバッグまで様々なものに使われます。
■メリット
- 肌触りが良い
- 吸湿性がよい
- 弾力があり摩擦に強く、毛玉ができにくい
- 洗濯に強く、シワになりにくく、型崩れしにくい
- 害虫に強い
■デメリット
- 日光に当たると変色しやすい
- 熱に弱い(乾燥機NGの場合が多い)
- 静電気が起きやすい
ナイロンについては、こちらで詳しくご紹介しています。
■ナイロンが向いているもの
ウインドブレーカー、バッグ、など
ポリエステル
■特徴
比較的安く、扱いやすい素材。
さらっとしていてシワになりにくいので、綿との混紡シャツなどに使われます。
衣服からバッグまで、ナイロンより安い価格で手に入れることができます。
■メリット
- コシがある
- 乾きやすい
- シワになりにくく型崩れしにくい
- 衝撃に強い
- 伸縮性がないので、洗濯しても伸び縮みがない。
- 高温にも耐えられるので、アイロンもOK。
- 害虫や薬品に強い
- リーズナブルな価格
■デメリット
- 毛玉が出来やすい
- 汗汚れやにおいが生地に残りやすい
- 静電気が起きやすい
ポリエステルについては、こちらで詳しくご紹介しています。
■ポリエステルが向いているもの
シャツ、トップス、バッグ、など
アクリル
■特徴
アクリルは毛糸やファー生地などに使われる素材です。
ウールよりもさらにふんわり柔らかで暖かい風合いで、毛糸からセーターなどが作られます。
ファー生地は、ぬいぐるみやアウターなどに使用されています。
ウールより安値で洗濯などの取り扱いも便利ですが、悪く言えば安っぽく、ウールより質が落ちる印象です。
流行の形のセーターなど、今年限りの服と割り切って安値で購入するのにちょうどいいです。
洗濯は手洗いかネットに入れて洗濯機でできますので、それほど面倒ではないので、冬の日常着にはちょうどいいですね。
■メリット
- 速乾性に優れている
- ウールより軽くて柔らかい
- カビや虫害被害がない
■デメリット
- 吸湿性や吸水性が低い
- 摩擦に弱く、毛玉になりやすい
- 熱に弱いので、アイロンに注意
■アクリルが向いているもの
- セーターやワンピースなど冬の衣服
- ぬいぐるみ
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