化学繊維の中でも、よく比較されるのがナイロンとポリエステル。
似てるけど何が違うの?
特徴を比較しながら、見分け方や、用途によっての使い分けについてご紹介します。
スポンサーリンク
目次
繊維の種類
生地は大きく2つに分類することができます。
天然繊維 | 綿や麻やウールなど、植物性や動物性の天然の繊維 |
---|---|
化学繊維 | 石油などから人工的に作られた繊維 |
ナイロンとポリエステルは、化学繊維の中に属します。
人工的に作られた繊維なんですね。
なぜ作られたのか、理由があります。
それぞれ違った目的から生まれた繊維です。
ナイロンの誕生と由来
今でこそ、合成繊維(化学繊維)は多数ありますが、実はナイロンは世界で初めて作られた合成繊維なんです。
『ナイロン(nylon)』はアメリカのデュポン社が作った商標名です。
正式な名称は、『ポリアミド』と言います。
なんか聞いたことありますよね。
靴下やストッキングの素材として使われていた絹は、高級なうえ強度が低かったので、絹に代わる繊維を作ることはできないか、ということで作られたのがナイロンです。
伝染しない=no run(ノーラン)
『ノーラン』が変化して『ナイロン』と呼ばれるようになったと言われています。
なんと、1940年には4日間で500万足のストッキング完売したというものすごい逸話があるそうですよ。
驚きですね。
1940年頃というと、日本ではまだまだ着物姿の女性が多くいたころですね。
この頃にアメリカではストッキングがバカ売れしていたなんて、ギャップを感じますね。
ポリエステルの誕生と由来
ポリエステルもナイロン同様、デュポン社が開発した繊維で、あるものの代用品として生まれました。
綿は生産量も多く、価格も手ごろなんですが、乾きが悪いというデメリットがあります。
乾きやすく、綿の代用品としての繊維はないものか・・・ということで誕生したのがポリエステルです。
ポリエステルは、乾きやすく型崩れしにくく、さらには熱にも強くてアイロンにも耐えられるいというメリットがあり、とっても便利。
そのため、綿との混合で生地が作られていたり、ポリエステル100%でつくられている衣服もあります。
ポリエステルは全く伸びないので、それが型崩れしにくいという利点に繋がっています。
ポリエステルで有名なのが、フリースです。
フリースは安くて暖かく、今では誰もが一つは持ってる衣服だと言ってもいいくらい浸透しています。
ブランケットにも使われている素材ですね。
フリースはポリエステル100%なのに伸縮性があるじゃん、と思った方。
そうなんです、フリースには伸縮性があるんですよ。なぜかというと、フリースは編んだものを起毛させた素材だからです。
織物のポリエステル100%は全く伸びませんが、編んだものには伸縮性があるというわけです。
メリット・デメリット
ナイロンとポリエステルの特徴を、メリットとデメリットにわけてまとめると次のようになります。
ナイロン
メリット
- 肌触りが良い
- 吸湿性がよい
- 弾力があり摩擦に強く、毛玉ができにくい
- 洗濯に強く、シワになりにくく、型崩れしにくい
- 害虫に強い
デメリット
- 日光に当たると変色しやすい
- 熱に弱い(乾燥機NGの場合が多い)
- 静電気が起きやすい
ポリエステル
メリット
水を吸いにくい性質を持ち、仮に水を吸ったとしても性能にあまり変化がありません。ポリエステル繊維の衣服が型崩れしにくいのはこのためです。またシワになりにくい性質を持つため、綿と混合させてもよく使われます。
ポリエステルは洗濯による伸び縮みもありません。
- コシがある
- 乾きやすい
- シワになりにくく型崩れしにくい
- 衝撃に強い
- 伸縮性がないので、洗濯しても伸び縮みがない。
- 高温にも耐えられるので、アイロンもOK。
- 害虫や薬品に強い
- リーズナブルな価格
デメリット
- 毛玉が出来やすい
- 汗汚れやにおいが生地に残りやすい
- 静電気が起きやすい
スポンサーリンク
ナイロンとポリエステルの特徴を比較
似ているようで違うところがあるナイロンとポリエステル。
特徴ごとに比較しながら見ていきましょう。
軽さ
ナイロン > ポリエステル
どちらもとっても軽い素材ですが、比べるとナイロンの方がさらに軽い素材です。
ナイロンは、軽さを重視するアウトドアのリュックなどにおススメです。
伸縮性
ナイロン > ポリエステル
ナイロンは伸縮性に優れています。
靴下やストッキングの素材として生まれたということからもわかりますね。
そのため、ウインドブレーカーなどのアウターなどに使うと、動きにフィットし着心地がいいです。
一方、型崩れしたくないものの場合は、伸びないポリエステルの方がいいということになります。
強度
強度は、内容により、どちらが強いか変わります。
引っ張ることに関しては、伸びて力を吸収することが出来るナイロンの方が優れています。
また、ナイロンは摩擦に強く、なんと綿の10倍ともいわれるほどです。
摩擦に強いということは、毛玉ができにくいうことに繋がります。
ポリエステルは、伸びないのでしっかりとしていて、衝撃に強い素材です。
熱に強いのもポリエステルです。
引っ張る・・・ナイロンの勝ち
摩擦・・・ナイロンの勝ち
衝撃・・・ポリエステルの勝ち
熱・・・ポリエステルの勝ち
吸湿性
ナイロン > ポリエステル
吸湿性というのは、湿気を吸い取る性質のことを言います。
よく「服の中が蒸れる~」と感じるときありますよね。
吸湿性のある素材の服だと、体から出る湿気を吸い取ってくれます。
逆に吸湿性のない素材の服だといつまでたっても服の中がムレムレになり不快感を感じてしまいます。
ナイロンは吸湿性に優れているので、靴下やストッキングなどは足の蒸れを防ぐ効果があります。
ポリエステルは吸湿性があまりないので、薄手のブラウスでも、汗をかくとムレて暑さを感じてしまいます。
吸水性
ナイロン ≥ ポリエステル
吸水性は、どちらも低いですが、比べればナイロンの方が吸水性があります。
とはいえ、そんなに吸水性はないのでナイロンは、バッグの表面が雨でぬれてしまっても、裏側までは浸透しにくいです。
ポリエステルは、さらに吸水しにくいですが、たとえ吸水したとしても型崩れはしにくい素材です。
洗った直後、洗濯機から出した洗濯物が「あれ、もう乾いてる?」と思ったことありませんか?
ポリエステル100%の素材だと、水分をほとんど含まないので、濡らしたそばから乾いているような感じになります。
濡れにくい素材なので、傘やレインコートなどに向いている素材です。
害虫
害虫は、ウールなどの動物性の繊維が大好物。
逆に、化学繊維は好まないので、ナイロンもポリエステルも被害には合いにくいという特徴があります。
ところが、服に皮脂汚れや食べこぼしなどの汚れが残ったままにしていると食べられてしまうこともあるので、きれいにしてタンスにしまいましょう。
お洋服を食べる虫さんは幼虫なので、幼虫がかえる前のGW頃までには洗濯やクリーニングに出してきれいにしてしまいましょう。
燃やす
ナイロンもポリエステルも自分の力で燃え続けることはできません。
火を近づけるとどちらもすぐに燃えますが、火を離すとすぐに消えてしまいます。
決定的な違いは臭いです。
ナイロンは嫌な臭いがしますがポリエステルを燃やすと芳香剤のような臭いがします。
また、ポリエステルは燃やすと黒い煙が出るのが特徴です。
スポンサーリンク
ナイロンとポリエステルの見分け方
見た目で判断するのはとても難しいです。
一番わかりやすい見分け方は燃やして煙が出るほうがポリエステルですが、商品を燃やすわけにはいかないので、品質表示がないものを見分ける方法はなかなか難しいということになります。
ナイロンとポリエステルの使い分け
ナイロンは毛玉になりにくいので、長持ちさせたいものはナイロン製を選びましょう。
ポリエステルは毛玉になりやすいという特徴があります。
服やバッグなどは毛玉ができると一気に使い古し感が出てしまいますよね。
少々、金額が高くても、丈夫で長持ちするナイロン製の方がきれいにな状態で使い続けることができます。
『ナイロンとポリエステルの違い』まとめ
ナイロンとポリエステルの違いをまとめましたが、いかがでしたか?
私なりのナイロンとポリエステルの使い分けは次の通りです。
大切に長く使いたいものは、ナイロン製を。
流行りものやデザインもの、洗い替えなどに安くて数多く欲しいものなどは、お手ごろ価格のポリエステル製を。
目的に応じて上手に生地選びをしたいですね。
コメント